アカスジカメムシ



 別段珍しいカメムシというわけではないが、その色模様がお気に入りのアカスジカメムシGraphosoma rubrolineatum (Westwood)である。北海道特産種というわけではないが、コンサドーレ札幌の応援に使えそうなカメムシである。
 超有名カメムシのアカスジキンカメムシと和名は似ているが、まったくの別種である。
 夏〜晩秋まで、例えば豊平川の河川敷や、円山藻岩といった山の日向に咲くセリ科の花の上でいくらでも見つけられる。
 体長は1センチ前後で、ころんとしたかわいい体形をしている。



 カメムシ類に特徴的な、背中の三角形(前胸背のすぐ後ろ、前翅革質部にはさまれている)のことを小盾板と言うが、このアカスジカメムシはその小楯板がキンカメムシ類ほどではないにせよ、大きく広がって腹部を覆っている。カメムシ科Pentatomidaeのなかでも、クロカメムシ亜科Podopinaeに属するカメムシの特徴のひとつである。
 Graphosoma属は世界中に分布しており、比較研究が面白そうである。
 小生の手元にはクリミア半島ウクライナ)産のやや小型で色味のよく似たカメムシの標本がある。


 これはおそらくGraphosoma semipunctatumであると思われる。
 何かの意図があるわけではないが、以下に世界のGraphosoma属のリストをあげておく。


世界のGraphosoma
学名分布域
Graphosoma alkaniトルコ
G. consimile中東各国
G. creticumトルコ、ギリシアクレタ島
G. interruptumカナリア諸島
G. lineatumヨーロッパ、北アフリカ、中東、中国、ロシア
G. melanoxanthumトルコ、中東
G. rubrolineatum アカスジカメムシ日本、朝鮮半島、中国、シベリア東部
G. semipunctatumヨーロッパ、北アフリカ、中東
G. staliトルコ、イラン、イラク、シリア



上記リストはAukema and Rieger(2006)Catalogue of the Heteroptera of the Palaearctic Region, Volume 5, the Netherlands Entomological Societyによる。
(撮影:2008年6月21日:/標本写真は2009年8月18日)