ユリイカ 詩と批評 9月臨時増刊号
ずいぶんと久しぶりに「ユリイカ 詩と批評」を買った。考えてみれば去年南方熊楠と中島らもを買って以来だ。
総特集は「昆虫主義」。買わないわけがない。昆虫文化愛好家、いわば昆虫主義者の血が騒ぐというもんである。
まだ買ったばかりでざっと目を通しただけだが、以下に記事内容をリストしておく。
- 養老孟司「虫のディテールから見える世界」
- 矢島稔「生涯・昆虫案内人のつぶやき」
- 西江雅之「わたしとむし」
- 長野敬「「ムシ環境」のうつろい」
- 奥本大三郎×アーサー・ビナード「古今東西・昆虫文学大放談!」(対談)
- 秋山亜由子「蝶」(マンガ)
- 細馬宏通「行動の来歴、個体の来歴」
- 河野和男「虫屋が手にする不思議と学者が唱える学理」
- 内山昭一「セミ幼虫は燻製がうまい!?」
- 手塚治虫「治虫少年の昆蟲研究ノート」(カラー図版)
- 塚本珪一「昆虫の創る風景 二一世紀・昆虫たちは?」
- 池田清彦「「マイナーな普遍」としての虫の楽しみ」
- 泉麻人「TOKYO昆虫事情 青山のカフェ街を飛ぶヒョウ柄の蝶々」
- 茂木健一郎×池上高志「蝶のように遊べ 昆虫のクオリアと動きをめぐって」(対談)
- 澤野雅樹「腐海に生きる巨大ゴキブリを夢見て」
- 郷原佳以「自己を/で織る詩 蚕になるデリダ」
- 大庭賢哉「夜の訪問者」(マンガ)
- 桐谷圭冶「昆虫熱中症」
- 田川研「虫屋がよろこぶとき」
- 高橋敬一「「よいこ」たちの世界」
- 久保裕「必読昆虫入門/専門書ブックガイド」(48冊を紹介)
錚々たる顔ぶれ。これはしばらく楽しめそうである。
なかでカメムシ関係者としては生態学者の桐谷圭冶氏(甲虫の人でもある)とカメムシ採集人の高橋敬一氏の名があるが、前者の記事の一部に温暖化におけるミナミアオカメムシの分布拡大と、アオクサカメムシとの競合の問題が取り扱われているようだ。
高橋敬一氏は最近は説教臭いことばかり書いておるな。それはそれで嫌いではないが。
振り返ってみれば「ユリイカ」が昆虫を扱うのは、これが2度目だろうか。「昆虫の博物誌」(1995年9月)である。先ほど混沌と空虚の中から発掘したので写真を貼っておく。ユリイカの並びではなく、昆虫本の中に並べていたせいで、かえって発見に時間がかかってしまった。余計なことはするものではない。
もはやバックナンバーとしての在庫は出版社に内容であるが、この号も大変力の入ったものであった。それにしても14年ぶりかー。
ぜひ今後も続けていってもらいたいものである。