ミズギワカメムシ類

 カメムシにはメジャーになれないグループがたくさんある。
 小さすぎたり、採集が難しかったり、地味すぎたり、そしてなにより情報が少なすぎたりといった理由で、普段省みられないグループである。
 今回のミズギワカメムシ科(Saldidae)も、そんなマイナーグループの一つである。それも、先にあげたマイナーになる理由のすべてを兼ね備えたすばらしいグループである。情報が極めて少なく、遺憾ながら、ここにも碌な情報を書き出すことが出来ない。今のところは。
 であるにもかかわらず、あえて取り上げるのは、先日この仲間を採ってしまったからである。実にすばらしい体験であった。
 2009年8月4日。豊平川河川敷の東雁来辺で、川辺からかなり遠い仮舗装の道路上で、成虫を1個体と多数の幼虫を発見した。
 水際とはいえない環境であったが、道路にはうっすらとドブ臭さが染み付いていたので、降雨の際などは水辺様の環境になるのかもしれない。もっとも、ミズギワカメムシという名称のわりに、乾燥した環境で暮らす種類もいるらしく、ともかくも正体の解明が最優先である(今回は結論が出ないので悪しからず)。
 そこでまずは、北海道に産するとされるミズギワカメムシ類について調べてみた。



北海道に産するミズギワカメムシ
和名学名
モンシロミズギワカメムシChartoscirta elegantula longicornis (Jakovlev, 1882)
ヒラタミズギワカメムシSalda littoralis (Linnaeus, 1758)
オオミズギワカメムシSalda kiritshenkoi Cobben, 1985
マダラオオミズギワカメムシTeloleuca kusnezowi Lindberg, 1934
ミズギワカメムシSaldula saltatoria (Linnaeus, 1758)
モンキツヤミズギワカメムシSaldula nobilis (Horvath, 1884)
ウスイロミズギワカメムシSaldula pallipes (Linnaeus, 1794)
エゾミズギワカメムシSaldula recticollis (Horvath, 1899)
ホシミズギワカメムシSaldula kurentzovi Vinokurov, 1979
ヒメウスイロミズギワカメムシSaldura palustris (Douglas, 1874)



 これに先ごろ北海道に分布していることがわかったチャモンミズギワカメムシSalda sahlbergi Reuter, 1875を加えて、これまでのところ11種類が確認されているということになる。
 このリストを元に、調査を進めていくことになるだろう。まずはノーマルらしきミズギワカメムシあたりからはじめて見ようか。

 つづく(?)