ツノアオカメムシ


 今日は北海道にも綺麗なカメムシがいるぜ、というおはなし。
 ツノアオカメムシPentatoma japonica (Distant)である。
 北海道特産というわけではないが、こちらでは平地にまで生息していて見つけやすい。例えば、円山公園などにも普通である。変わったところではススキノで採集された標本を、小生は保有している。
 食草はハルニレ、ミズキ、カエデ、シラカバ、ミズナラなどなどであるが、採集するには灯火を回るのが手っ取り早い。写真の個体も灯火採集で得られたものである。
 体長は2センチを超える大型のカメムシで、非常に立派な印象を与える。
 柑橘類のような、さわやかなにおいを発する、と書くと疑う人もいるだろうが事実なんである。



 よく似た別種にアオクチブトカメムシDinorhynchus dybowskyi Jakovlevがいるが、口針の太さはもちろん。前胸背側角の形状で容易に区別することができる。
 右の標本写真がアオクチブトカメムシである。
 アオクチブトカメムシの側角(肩の部分)がまっすぐ突出しているのに対して、ツノアオカメムシは幅広く、先端が斜めに切れて赤くなっている。体形もアオクチブトカメムシのほうがほっそりしている。


 同様に金属光沢を持つカメムシとして、先日ミヤコキンカメムシ(キンカメムシ科)について書いたが、今回のツノアオカメムシはキンカメムシ科ではなく、カメムシ科に属する。


(撮影:2009年8月26日:円山)